Chatwork 座談インタビュー|ビジネスチャットツール提供企業の「リモートでも働きやすい文化」について

2021年9月24日 掲載

今回は、リモートワークで大人気のビジネスチャットツール”Chatwork”を運営する「Chatwork株式会社」にインタビュー。コロナ禍でのリモート移行に関すること・求める人物像についてなど、3名の座談会形式で1時間にわたりインタビュー。ファシリテーターは、Chatwork株式会社ー開発本部ーエンジニア採用・広報担当の高瀬さんが務めてくださりました。

プロフィール

高瀬 和之 氏
2019年9月に入社。開発本部にてエンジニア採用ー広報を担当。大阪府で参画(リモートではない)。その前は、フロントエンド開発部にてクライアントサイドの画面設計・機能開発を経験。今でも仕事の3割程度は、フロントエンド開発のお手伝いや技術伝達も行っている。今回のインタビューでは、ファシリテーターを務める。

池田 道弘 氏
2019年9月に入社。モバイルアプリケーション開発部にて、Androidアプリの開発を担当。入社時から広島県でフルリモート勤務。前職では受託開発をしており、AndroidのみならずWindows用アプリやサーバーサイドも経験していた。

佐々木 敏明 氏
2020年9月にフルリモートの状況下で入社し、現在は福井県に在住。プロダクトマネジメント室に所属。「Chatwork」の開発工程のうち、グロースエンジニアリングのプロダクトマネージャーとしてグロース・改善を担当している。

事業紹介

弊社は、大阪・東京・ベトナム・台湾に拠点があります。事業内容としては、主に2つの事業があります。

1つ目は、社名にもなっている「Chatwork」というビジネスチャットツールのサービス提供です。2つ目は、セキュリティ事業として「ESET」と呼ばれるセキュリティーソフトの代理店販売事業です。メインではありませんが、最近はZoomの販売代理もさせていただいています。

フルリモートに対する不安に関して

池田さん、佐々木さんはフルリモートで働くことに対して、不安はありませんでしたか?

私は2019年9月からフルリモートなのですが、出社する方が大多数の中で、最初からフルリモート勤務の採用面接を受けました。面接中も3回ほど「フルリモートで大丈夫ですか?」と聞かれましたね。ただ前職での勤務中、周りの音が気になることもあり「静かな場所で作業したい」という気持ちがあったので、フルリモートの方が集中できるのではないかと期待していました。
 
なので、不安はあまり感じておらず、メリットに対する期待の方が大きかったですね。実際にフルリモート勤務してみても、デスクなどの環境をカスタマイズできたりすることで働きやすく、想像通りでした。

池田さんがガジェット好きで仕事環境も整備されていることは、社内でも有名ですよね。

やはりビデオ会議することが多いので、なるべく快適な環境でできるようにスピーカーとマイクはしっかりとコンディショニングしています。
 
モバイルアプリケーション開発部は社内で1番フルリモート勤務者が多い部署で、特にAndroid開発メンバーは、私を含めて4人がフルリモート勤務です。現在、コロナ禍でリモートワークが世間的に主流になっていますが、この部署に限っては、コロナ以前と働き方があまり変わっていないように感じますね。

佐々木さんはいかがでしたか?

不安は特にありませんでした。前職が東京の会社で、そちらでもコロナ禍の影響でフルリモートワークを経験していたことと、私が所属していたチームではコロナ前もリモートワークを推進していたのでリモートでプロダクト開発することに慣れていました。
 
リモートを推進していた理由としては、地域や距離にとらわれずコミュニケーションをとりプロダクトを作っていけるチームの方がスケール性があると考えたためです。そのため、当時は東京にいながらも週2・3日はリモート勤務を取り入れていました。

リモートワークで意識していること

リモートで組織に参画する上で、
意識していることはありますか?

モバイルアプリケーションチームはもともとリモートメンバーが多かったので、それを補うべく開発環境を整えるまでのドキュメントが充実しています。
 
Androidチームに新しいメンバーも随時ジョインしているので、何かあればドキュメントを見て自身で素早く解決・対応できるようにドキュメントの充実に力を入れています。

コロナ禍以前は、入社して始めの3日間程度はオフィスに出社し作業をすることができたので、最初のセットアップを済ませることができましたよね。
 
それがコロナ禍で出来ない状況にあるので、よりオンボーディングのドキュメントが重要になっているかなと。新しく参画する方に対して、既存メンバーはドキュメントを充実してあげたり、フォローしてあげるような空気感もチームとして大事ですよね。

そうですね。先日、新しく入社された方もフルリモート勤務者なので、セットアップ中も「困っていることはないですか?」と、こちらから声をかけていましたね。フォローできる人が、フォローできるタイミングでフォローしています。

佐々木さんは入社されてまだ日が浅いですが、
いかがですか?

「いい意味で空気を読まずに突っ込んでいく」ということを意識しています。今のようなリモート勤務下では、チャットなどでアウトプットを出さないと存在感がない状態になってしまいがちです。
 
だからこそ、いい意味で空気を読まずにチャットで色んな話に参加したり、分からない事に関しては「分からないので教えて下さい」と物怖じせずにコミュニケーションをとっています。「おそらくこのような背景がある」と自分なりに咀嚼して聞かないのではなく、不明瞭なことはどんどん質問するようにしています。
 
あと、先程池田さんがおっしゃったようにChatworkには組織の知見が蓄積されているドキュメントがとても充実しています。空気を読まずに無邪気でいられる期間は入社してずっとは続くものではないので、自分から能動的にドキュメントを探しに行き必要以上に周りに負担をかけないことも心がけています。

私の方からもお話させていただくと、聞きやすい環境を作ることはとても大事だと思っています。私の所属するフロントエンド開発部では、メンター制度を導入しています。
 
入社したての方には、1日1時間オンラインでメンターが張り付く時間を作っています。そこで開発環境の構築や業務関連の質問のみならず、自己紹介シートから掘り下げたりするなどして雑談も大事にしています。
 
また、部署レベルでもフロントエンド開発部は“モブワーク”の時間を大切にしています。週1回必ず全員が集まるモブワークの時間を作り、そこで「フロントエンドの最新動向のキャッチアップ」「今の設計の話し合い」などをします。他にも、毎日午後には2・3人が必ずモブワークをしている状態です。モブワークのおかげで、リモートではありながらも一緒に作業している時間の方が多いと言っても過言ではないと思います。
 
モブワーク関連の面白い取り組みとして、Chatworkはメッセージに画像を付けられるのですが「モブワークしましょう」という意思表示を行えるスタンプ画像を用意しておいて、それを送ると必ず誰かが反応してくれるようにもしています。

プライベートの交流について

仕事以外の側面でも、自己開示は大切だと思うのですが、弊社は趣味・部活など雑談用のチャットも充実していますよね。
入社したばかりの佐々木さんは、そのあたりどのように感じていますか?

本当にとても充実していて、みなさんが活発に投稿されていて面白かったです(笑)自己開示の話で印象的だったのは、Chatworkでは入社時に自己紹介のドキュメントを書くのですが、私はそのドキュメントに「ハイボールが好きです」と記載しました。
 
するとその日のうちにハイボール部が立ちあがりました(笑) これまで培った文化的なものもあると思いますが、このように受け入れる側が幅広く道を用意してあるというのはとても素晴らしいと思いました。

ちなみに、好きな雑談用チャットはありますか?

キャンプ初心者部が好きです。キャンプに行くと、テントや飲んでいるビールの写真を見たり送ったりしています。

ガジェット好きなので、ガジェット大好き部が楽しいですね。開発部のメンバーの中ではかなり珍しいのですが、私の開発マシンはWindowsノートPCです。ただし、モバイルアプリケーション開発部なので、iOSにも対応できるようにMacintoshのノートPCも持っています。

自己開示を促すための取り組み

佐々木さんが触れてくださいましたが、自己開示を大事にしているということを象徴する取り組みとして、「あれ誰」がありますよね。

所属部署・関わりのあるメンバー・入社のタイミング・Chatworkとの出会い・出身地などの基本情報から、趣味・週末は何をしているか・好きor嫌いな食べ物・長所・短所・座右の銘など、さまざまな項目があるんです。

ちなみに、皆さんは座右の銘を何にされていますか?

私の座右の銘は「なければ、つくる」です。

私は「魂は合ってる」です。

個性が出ますよね(笑)
このシートから、趣味や部活のチャットに勧誘したりしています。それ以外にも、「ひとこと日記」を書くチャットがあるなど、色々なチャネルから自己開示してもらえる環境が整っていると思います。
 
よほどクリティカルな情報でない限りは他の部署のチャットルームも閲覧可能なので、情報の透過性も高いと思いますね。

メンバー間のやりとりで大切にしていること

少し重複しますが、リモートワークに限らず、メンバー間のコミュニケーションで大切にしていることを教えてください。

私はちょうど昨日、東京オフィスに出張に行っていました。その目的は、チームビルディングや会ったことのないメンバーと話をするためです。
 
モバイルアプリケーション開発部はリモートのメンバーが多いこともあり、新メンバー参画時には極力早くコミュニケーションのための合宿を組んでいます。

たしかにモバイルアプリケーション開発部は、新メンバー入社時はすぐに合宿を組んでいるイメージがあり、すごいなと思っています。
リモートワークが主流だからこそオフラインでの交流機会を、関係性構築のために最初に行うことはとても大切ですよね。
 
補足として、Chatworkはリモートでコミュニケーションをとるためのツールですが、対面でのコミュニケーションも大切にしています。コロナ禍以前には、月1で会社補助ありの飲み会を開催していました。他にも、会社のメンバーと相談するためのランチの場合はランチ代が補助されます。つまり、コミュニケーションを促進するための制度がかなり充実しているんです。

プロダクト開発に限る話ではありませんが、プロジェクトには十人十色で様々な価値観を持ったメンバーが関わることになります。Chatworkのミッションである「働くをもっと楽しく、創造的に」の実現という前提のもと、各メンバーの価値観を尊重してコミュニケーションをとることを大切にしています。
 
また、それぞれの価値観を知るために自己開示してもらえる空気感の醸成や心理的安全性の担保も意識するように心がけています。

リモートワークの働き方とおすすめツール

フルリモート下で役に立っているツール・ガジェット・意識している働き方などはありますか?

イヤホンマイクだと、ケーブルがひっかかるのが気になってしまうので、スピーカーとコンデンサーマイクは役に立っています。ヘッドセットタイプも使用したことがありましたが、1時間程度で耳が痛くなるので辞めました。

面白いアイテムだと、社内で”二酸化炭素濃度計測器”を導入している方もいますよね。閉め切った部屋だと二酸化炭素濃度が下がり、集中力が下がるのを検知して導入されているのだと聞いたことがあります。

3・4名いますね。あとはディスプレイの数や椅子ですね。弊社はオフィス勤務の場合、何種類かから好きな椅子を選べる“椅子選択制度”があります。
私の場合は、リモート勤務なので自分で購入しましたが、今は椅子購入時、半額もしくは上限5万円まで補助がでますね。

そうですよね。
リモートワークに移行した翌月の3月から“一歩先の働き方支援制度”が始まりました。働き方を良くするための物の購入時、その半額を一人当たり年額15万円まで補助してくれる制度です。その中の1つが椅子ですが、エアコン・照明器具・引っ越し費用などにも適用されます。
 
また池田さんの話でディスプレイが出てきましたが、3つディスプレイを用意し、1つはチャット用にしておく形もよく見られます。これは、リモートワークでも情報をより早くキャッチアップしようとする意識の表れだと思います。

(池田さんのデスク写真)

私は、設備的なプラスαはあまりありません。一応、モニターは2枚あるのでChatworkは常に開いた状態にして作業効率とコミュニケーションのスピードを上げるための取り組みは行っています。
 
あと、設備的なものではありませんが、リモートワーク環境では運動量が減るので健康には気を使っています。具体的には毎朝5時くらいに起きて30分ほど散歩したり筋トレしたりしています。他にも観葉植物を育てるなど、フィジカル・メンタルの両面でセルフケアをするように心がけています。

実は、社内で夕方4時にラジオ体操をする「ラジオ体操部」・ジムに行ったことを報告する「ジム部」があります。リモートワークに移行してからはトレーナーの資格を持っている方が、トレーニングの講習をしてくれて皆でフィットネスをする取り組みもあるようです。

話を戻すと、私は機材として椅子を購入しましたね。他にも、在宅環境にあってスペースを確保しなくても仕事ができるように、ボールを動かすだけで場所を取らずに操作できる“トラックボール”と呼ばれるマウスを購入しました。また、膝の上で仕事ができるように“PCスタンド”も購入しました。
 
働き方の観点では、リモートワークは衆人による監視がないため自分を律する必要がある一方で、オフィスで小休憩が推奨されているように「息抜き」を大切にしています。家で作業している中で、息抜きの選択肢として家事をしたりしています。息抜きがあることで、集中力を回復させられ、ワークとライフのバランスもとれているように感じます。

メンタルケア的なところでいうと、既婚者の場合は、家に人がいる場面も多いので、完全に孤独な状態になることは少ないかと思います。そうではない場合は、モブワークで会話を担保している場合が多いと思います。

そうですね。あとは業務の一環として勉強会をしても問題ありませんので、様々な形で人と対話できる機会を作ることができます。そういったものに積極的に参加することで、メンタル面のケアを自然とできているのではないかと思います。またビデオツール上でランチ会にも参加できるので、家には一人でも、対話の機会は多いのではないかと思います。

求める人物像

最後になりますが、今後一緒に働きたいメンバーはどのような人ですか?

スキル的な話で言えば、モバイルアプリケーション開発部ではテストに関する知見・スキルを持ったメンバーを募集しています。現時点でテストに強いメンバーが少ないので、ジョインしてもらえればチームのスキルアップにも繋がると考えています。

モバイルアプリケーション開発部は、外国人メンバーが社内で一番多いこともあり、多様性あふれるチームですよね。今チームにないスキルを持ったメンバーがジョインすることで、より多様性にあふれますね。

では私はマインド的な観点から。最近、弊社の採用サイトがリニューアルして、その中に「ジャイアント・キリング」という言葉が使われています。まだ150人に満たない組織ですが、数千人以上の規模の会社と競い合いながら市場課題の解決に本気で挑んでいます。
 
ミッションである「働くをもっと楽しく、創造的に」実現に向けて、大きな課題に対して大きく挑戦していけるマインドを持っている方を求めています。そういった方と一緒にワクワクしながら働きたいと思っています。

私もマインド面の話になりますが、弊社は「課題に対して、メンバーが協力して立ち向かう」というチーム構図が特徴的だと思います。メンバー同士が、ギスギスとした空気で蹴落としあうことがなく、仲間意識がとても強いと感じます。
 
それは今後、組織がスケールしても強く働くと思うので、その会社の空気感を保てる方であることを採用時にも意識しています。つまり「課題VSチーム」という意識を持った方を、採用したいですね。


会社HP:https://corp.chatwork.com/ja/


投稿者プロフィール

柳 恭平

テックゲート運営責任者。約3年間のフリーランスの経験をしてテックゲートに参画。 営業,企画,マーケ,広報,エンジニア対応とマルチに対応。最近ではPythonを使った業務効率化する方法を習得中。

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