株式会社 STANDING OVATION CTO 及川氏|人気のXZ(クローゼット)アプリを提供するリモートワーク導入企業に聞く事業概要とリモートワーク

2021年9月30日 掲載

この度、株式会社 STANDING OVATION CTO 及川氏にインタビューさせていただきました。

プロフィール

株式会社STANDING OVATION  CTO 及川 渓氏

フューチャーアーキテクト(現: フューチャー)株式会社にて技術部隊に所属し、フロントエンドのスペシャリストとして様々なプロジェクトで活躍。
その後、株式会社STANDING OVATIONに入社後、自社アプリ「XZ」をはじめとするサービス開発、Webメディアの立ち上げや運用など、フロントエンドだけでなくサーバー、インフラ、ツール開発、運用まで幅広く何でも担当。
2020年より執行役員CTOとして開発チームを率いる。

事業概要

事業概要について教えてください。

弊社は、ファッションテックのスタートアップです。「XZ(クローゼット)」という現在150万ダウンロード超えの一般のユーザーさん向けのファッションアプリを提供しています。AIスタイリストが自分の手持ち服からコーディネートを提供してくれるオンライン・クローゼットのアプリです。その手持ち服のデータが約3000万点以上、登録されており、手持ち服のデータベースとしては国内・海外含めても最大の規模です。

「XZ(クローゼット)」アプリ開発の中で、培ってきたAIスタイリストのエンジンとオンライン・クローゼットの仕組みをアパレルブランドさんのECサイト向けに「XZ biz(クローゼットビズ)」としてソリューション提供しています。XZサービスは、B2C向けの「XZ(クローゼット)」とB2B(2C)向けの「XZ biz(クローゼットビズ)」に提供・展開しています。

クローゼット(以下XZ)はどのようなアプリですか?

XZは、ユーザーさんが自分の手持ち服をアプリの中に取り込んで持ち歩くことができます。 取り込む方法はカメラに加え、ZOZOTOWNや楽天などのECサイトからの購入履歴を読み取り、過去に買った服をアプリに一括で登録できます。また、他の人が持っているアイテムを“よくあるアイテム”の中から選ぶことも可能です。色々な方法があるので、簡単にオンラインのクローゼットを作ることができるんです。

そして、「どの服を着れば良いのか悩むユーザーさんたち」に対して、居住地の気温に合った服を提案してくれるのが“手持ち服を使ったAIコーデ提案”の機能です。この提案のエンジンがXZ bizでもソリューション提案をしている核になっています。

また、コーデをカレンダーに記録すれば、過去にどんな服を着ていたのか把握してくれます。これは特に、女性に多い「コーデを被らないようにしたい」というニーズに対応したものです。さらには、将来どんなコーデにするのかも登録しておけるため、前日に慌てないで済むような使い方も可能となっています。

さらに、クローゼット診断機能で、保有アイテムのバランスや、着用回数が低いアイテムやコスパの悪いアイテムなども見える化され把握でき、買取リユースに出すこともできます。SDGsにも貢献する、サステイナブルな循環ファッションを実現・提供しています。

XZbiz(以下クローゼットビズ)についても説明もお願いいたします。

XZのコーデ提案機能をソリューションとして提供しているのがXZ bizです。具体的には、ECショップの詳細ページにXZ bizを導入していただくと、例えばグレーのスウェットを見ているのであれば、それを使ってどのような着回しができるのかをスナップ画像を活用して提案してくれるんです。アイテムの柄・カテゴリ・色・袖丈などのパラメーターを読み取って、着回しコーデを作ってくれます。ユーザさんは、手持ちの服と合わせた商品の着回しコーデのバリエーションのイメージ幅が広がり、必要なアイテムが分かるため、無駄のない購入を決定しやすくなります。

ブランドやECサイト側のメリットとしては、一つの商品で着回しコーデを作る際にコーデ毎に撮影する必要がないため、コスト・時間が削減できるということです。スナップ画像については、インスタグラマーさんとも提携しているため、クオリティの高いインスタグラマーの写真も使用して商品を訴求できるため、商品をより魅力的に感じていただけるソリューションとなっています。

消費者にもショップにも非常に効率的なサービスですよね。

服を買う時って「自分の手持ち服と合うか」を考えますよね。その体験がEC上で可能となり、さらには提案までしてもらえるような形ですね。逆に、自分の手持ちアイテムを起点に合う商品をコーデ提案から検索できる機能もあります。最近はカート内の商品に対して、さらに手持ち服を活かすことのできる「こんな商品も合わせていかがですか?」を提案してくれる機能も開始しました。

これらの消費者に使いやすい機能を、ECショップに提供もしています。三井不動産「ららぽーと」の「&mall(アンドモール)」というサイトでも導入していただいています。
XZが架け橋となり、EC「&mall(アンドモール)」とリアル店舗「ららぽーと」で、オンラインとオフラインの融合(OMO: Online Merges with Offline) による接客サービスを提供開始しました。ECでも店舗でも、手持ち服+商品の着回しコーデをAIスタイリストが提案してくれる、新しいショッピング体験を実現しています。

リモートワークの形態について

リモートワークは、導入されているのでしょうか?

弊社の正社員は、フルリモートに近いですが、週に一度だけ出社する形を取っています。毎週水曜日に出社日を決めていて、そこでは主にミーティングを入れることが多いですね。あとは、チームメンバーとランチしてコミュニケーションを取ったり、1on1をしていますね。

外部の方はフルリモートでしょうか?

そうですね。パートナーの方はフルリモートですが、朝会から社員と協働して、ワンチームとしてコミットしていただいています。

リモートワークのきっかけ

リモートワークを取り入れられたきっかけを教えてください。

取り入れたのは2020年4月頭です。一度目の緊急事態宣言の直前ですね。

理由としては二つあり、
一つはテレワークを政府が推奨するなどの世間的な流れがある中で、社員からも「弊社はやらないのかな?」という声があったからですね。正直、弊社は小さいスタートアップでセキュリティも厳しくないですし、IT系の仕事であるため場所も選ばないので、リモートを導入できない理由は全くなかったということです。

二つ目は、採用の観点ですね。当時、エンジニアを採用しようと考えている中で、2020年3月頃から「リモートワークは可能ですか」という声が増えたんですよ。そこで「リモートワークを取り入れないと、優秀な人材を獲得できないな」と危機感を覚え、私から代表の荻田に話し、翌日には切り替えが始まりましたね。

早いですね(笑)確かにエンジニアさんからのリモートワーク希望の声が増えましたよね。

100%といっても過言ではないほどでしたね。「何か働く上での希望はありますか?」と聞くと、ほぼ「リモートで働けますか?」という声がありましたね。

当時は特に新型コロナウイルスの実態が分からず、社内でも採用希望者でも「怖い」という声が多くありましたね。

取り入れた結果、採用はうまく行きましたか?

そうですね。少なくともリモートワークが原因で人材を採れなかったことはありませんし、今では海外に住んでいるエンジニアもいるんです。日本人ですが、海外で働きたいということでフィリピンに居住しています。リモートワーク導入がなければ絶対に採れなかった人材だと思うので、優秀なエンジニアを場所問わずで採用できるのは良かったですね。

海外在住のエンジニアって、優秀なエンジニアが多いですよね。

そうですね。海外に出ていこうということで、能動的な人が多いと思います。弊社の採用基準は“いかに能動的に動けるか”なので、海外でエンジニアとしてやっていくという心構えに、弊社の採用基準と通ずる部分があるように感じています。

リモートワークのメリット

リモートワークは採用面のメリットがあると伝わってきました。
他にもメリットだと感じることはありますか?

そうですね。メリットはたくさんあると思います。一つは、活動しやすい時間に活動できることでパフォーマンス力が上がることですね。エンジニアによって朝型や夜型があると思うんですが、今までは全員同じ時間に出社でした。今は、ミーティング等の時間が決まっているものもありますが、それ以外の時間は自由です。私は朝型なので、6時ごろに起きてやっています。働き方の自由度が増えたことでパフォーマンス力が向上したり、日中に眠くなることが減ったという声もありますね。

あとは、通勤時間ですね。時間が増えることに加え、ストレスが少ないことが大きいと思います。あとは、家族との時間が増えましたね。私自身も結婚していますが、家族と食事は週に1.2回だけでしたが、今はほぼ毎日一緒に食事できるのでいいですね。

また、弊社のオフィスは渋谷なので外から大きな音が聞こえてくることや、オフィス内での商談の声などが気になることもあったのですが、リモートワークであれば音も気にならないので集中できますね。これはエンジニアにとって、かなり大きいと思います。

本当にメリットが多いですよね。

他にも、花粉症の時期に外に出なくて済むこともメリットですし、今まで阿吽の呼吸でなんとなく合わせていたこともドキュメント化するようになったことも利点ですね。業務がフォーマット化されていることは非常にいいメリットだと思いますね。

カルチャーフィットする人材

御社にマッチするエンジニアはどのようなエンジニアだと思いますか?

能動的な人ですね。“基本タスク待ち”な人材は難しいと思います。積極的に動いてサービスや仕組みを改善することができるエンジニアがカルチャーフィットすると思います。

リモートワークでは特に「能動的に動けるか」は必須スキルになりますよね。

リモートワークもそうですしスタートアップということで、私はCTOとして開発全体を見ているのですが、一人一人のタスクを細かくマネジメントはできないので、自律・自走して動けることは大事に思っています。

採用について

カルチャーフィットするかどうかは面接などで見極めているのでしょうか?

基本は面談で話して判断しています。自ら動ける人かどうかは、自ら動く・チームをリードするなどの経験から見たりしますね。あとは、個人の活動もわりと重視しています。「仕事以外ではGitHubでソースを書いたりしていますか?」「どんなプロジェクトをやっていますか?」などと聞き、自発的に動いていれば積極的に採用したいと思いますね。

エンジニア採用の難しさ

エンジニア採用で難しいと感じたことはありますか?

アウトプットについて面接で見たいと思っているのですが「アウトプットしていないです」という方もいたり、仕事の結果を見せられない方もいらっしゃります。そういった際にどのように判断するかは難しいと思いますね。

現状では、それについてどのように対策されていらっしゃいますか?

現状では質疑応答の中でその人の能力を見極めていますね。現状の課題をお伝えしてみます。「その回答の中で光るものがあるか」「我々が持っていないものを持っているか」という点で判断しています。

できればアウトプットがあれば実力が分かり易いのですが、どうしても無いようであれば職務経歴書の内容や質疑応答での判断になってしまいますね。

今後の事業方針・採用方針について

今後の事業方針・採用方針について教えてください。

事業方針としては、「XZ biz(クローゼットビズ)」というビジネス向けのソリューションを各ECサイトへの導入を増やしていき、ビジネスモデルの核にしていきたいと思っています。「XZ(クローゼット)」のアプリについては、ユーザー体験がまだまだ悪いと考えているので、UXやコーデ提案機能のアップデートも直近の1年で行っていきたいと思っています。これが事業のロードマップですね。

採用方針は、今はフロントエンジニアを直近で募集していこうと考えています。主に「XZ biz(クローゼットビズ)」で様々なB向けに売っていく際にUI/UXのカスタマイズをしていただく予定です。ABテストなども行っているため、見た目についてもテストしてアップデートしていくため、それらもお任せできる人であればいいなと思っています。フルタイムではなく、まずは週2・3日で考えております。


会社HP:https://www.green-japan.com/company/4825

アプリ:XZ(クローゼット)情報

iPhone: https://apps.apple.com/jp/app/id909369654
Android: https://play.google.com/store/apps/details?id=fashion.style.coordinate.app.xz&hl=ja
利用料金:無料
対応機種:ios11.4以上搭載の機種、Android4.4.4以上搭載の機種


投稿者プロフィール

柳 恭平

テックゲート運営責任者。約3年間のフリーランスの経験をしてテックゲートに参画。 営業,企画,マーケ,広報,エンジニア対応とマルチに対応。最近ではPythonを使った業務効率化する方法を習得中。

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